桜通り歯科コラム
噛み合わせ最前線

頭痛、顔面痛について

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こちらもやはり、いろいろな原因で起こる症状で、その分類や原因の種類はインターネットで調べてもたくさん出ています。ですから、ここでも多くの中の噛み合わせとの関連についてを説明します。

西洋医学的には、噛み合わせは、頭痛の原因や、関連する因子に、明確にはなっていないと思います。歯の痛み(虫歯など)からの頭痛は統一された認識になっていますが、これから説明する、“噛み合わせから”とは、違います。

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原因を簡単にまとめてしまうと、筋、血管、神経、頭蓋骨とその内外の器官、これらの障害、疾患や、心因性のものです。もっと簡単に言うと、頭の周り(内外)や、関わる部位に病気があれば、頭痛は起こり得る、ということです。

では、噛み合わせからつながっているということは? 項目を挙げると、

  • 筋肉から
  • 血流
  • 骨と硬膜
  • その他
筋肉からは、以前にも書いたように、下顎の周りには、136個の筋肉があります。単純に、アゴがズレると、これらの筋が持続的に引っ張られたり、偏って引っ張られるので、また、感覚、神経学的には、歯の悪い接触があると、それを脳が感知し、筋肉を硬直させます。これらにより、頭の骨の周りの筋肉自体の痛みを、頭痛として感じたり(頭の表面に付いているので)、とくに咀嚼筋(噛む筋肉)の側頭筋は、頭の両サイド(側頭部)に付いている大きな筋肉なので、ここに過緊張があると、頭痛を感じます。また、筋肉が硬直していると、その部位の血流が悪くなります。長期的に続くと、頭がボーっとして、鬱っぽい状態になることもあります(本当の鬱ではない。これは自律神経等の影響もあるので、いずれまた説明します)。

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あるいは、首の後ろの筋肉の硬直で、その付け根の後頭部の骨自体に痛みを感じることもあります。

頭蓋骨に関しては、“頭蓋骨が歪む”ことで、以前にも説明したように、硬膜も歪み、頭痛が起こります。硬膜は頭蓋骨の中で脳を包んでいるのですが、下図のように、部分的に、脳の中に入り込んでいます(脳自体の中ではなく、部分的分かれた間に)。頭蓋骨の歪みによりこれらが歪み(引っ張られるというか、トルクがかかる:弾力性がないので)、硬膜に関連する血管系にも刺激を与えます。

その他にも、上記のことに関連して、脳脊髄の圧が上がったり、様々な神経の影響など、解剖学的、生理学的に考えても、噛み合わせからの様々な頭痛の発生機序が考えられます。

にもしかたがないことではありますが。

私の臨床では、噛み合せの悪い患者さんはほとんどに頭痛があります。ですが、噛み合わせが、改善されてきた段階で、そのほぼがなくなります。僕の記憶では、しっかりと噛み合わせを治した患者さんでは、頭痛が残っている人はいないと思います。ですが、頭痛は様々な原因から引き起こされるものなので、もし治療途中で、頭痛が出た場合は、治療の段階や、そのときの噛み合せの状態によって、出てもおかしくない時期があるので、説明します。噛み合わせ、噛み合わせ、と言って脳腫瘍や脳の疾患があっては一大事ですから、頭痛が長引く、あまりにも酷い、等の症状があれば精密検査を受けることに異論はありません。

とにかく、噛み合わせから起こる頭痛もある、ということです。医学的に強く言えませんが。

耳の症状についてです。

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噛み合わせに関係して起こる耳の症状は、

  • 難聴
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 痛み
などでしょうか。これらも、噛み合わせ以外に、耳自体の疾患や、その他の様々な関連する疾患、異常からも起き、噛み合わせはその引き起こされる症状の数多い原因の中の一つの要素であり、また、医学的に証明され統一されていないものです。説やレポートはありますが。

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ですから、私の臨床的なデータとそれらの報告をもとに説明します。

基本的に、噛み合わせからの耳への影響は、今まで説明したような頭蓋骨の歪みによる側頭骨への影響と、顎関節が耳のすぐ前にあるということだと思います。上図のように、耳の構造は、側頭骨の中にあります。そして、多くの神経血管が側頭骨に入り、耳の中の各部に分布しているので、側頭骨の位置が歪みによりズレると、それらの神経・血管を刺激し、その機能への様々な影響、症状を引き起こすことは解剖学的に十分考えられると思います。

そして、顎関節は、噛み合わせが悪く、アゴがズレた場合、筋肉の硬直により、後方に引っ張られたり、奥歯が抜けたままの場合は、単純に支えがないので、やはり関節が奥に押し込められるので、耳に何らかの影響が出ても不思議ではないと思います。

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僕の臨床でも、奥歯がなかったり、低い奥歯で、顎関節が後方に押し込められた患者さんは、難聴ぎみで、アゴの位置が回復すると、難聴も改善される傾向があります。

めまいに関しても、噛み合わせが改善されると消えてしまうことが多いです。めまいのひどい患者さんは歯科治療に通えないのかも知れませんが。最近も1人、めまいとその他の症状がひどく、ほとんど家から出れない、という患者さんがいたのですが、調整をしていっている初期の段階でめまい自体はかなり改善されました。

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めまいは、メニエール病との鑑別診断が重要でしょうが、メニエール病は、メカニズムは分かっていても、原因が分かっていないので、そもそも側頭骨や、顎関節による影響が、原因の1つとも考えられるかもしれません。患者さんの中でも、メニエール病ではないか?と診断されていた患者さんは何人かいましたが、どのように調べているのか、はっきりと診断されていないので、分からないのですが、そういう患者さんはやはり、めまいは消えています。この辺は更なるリサーチが必要です。原因不明の中には噛み合わせからのものは一つ二つではなく、含まれていると思ってしまいますね。

耳鳴りなども、一過性ならどこから来ているか分かりずらいですが、やはり、アゴが(関節が)前に出てくると止まる、という経験もあります。

痛みは、顎関節で痛みの出る部位が後ろの部位なので、耳の近くが痛くなり、それを耳が痛いと表現する患者さんはいます。耳自体の炎症や感染が多いと思いますが、側頭骨のズレや顎関節を、影響を1つの要素として考える必要はあると思います。

これもやはり、耳の異常はすべて噛み合わせから、というのではなく、噛み合わせからも、耳の異常は起こることもある、ということで、解剖学的に考えても、噛み合わせとそれによる頭蓋骨の歪みと顎関節による影響はある、とすべきです。

血液データについてです。

これに関しては、口腔内に炎症があれば、影響があるのは当然です。

ですが、噛み合わせに関係しては一般的でも歯科でも統一して証明されていません。

まず、血圧について。

血圧に影響を与える要素としては、筋肉が考えられます。

今迄に説明したように、悪い噛み合わせによって、物理的にも筋肉は引っ張られたり、ゆるんだり、そして特に、感覚的に(神経学的に)、“硬直”します。筋肉が硬直することによって、物理的に、傍を走る血管も圧迫され、 血流が悪くなる部位ができ、それによって、血圧が上がります。特に、首の周り(特に後ろ)の筋肉の硬直による影響が大きいと考えられます(脳血流量に関しては減少しますが)。

また、実際には、歯の悪い接触による、脳へのストレス信号、頚椎の曲がりを含めた自律神経への影響、硬膜の歪みによる脳脊髄のストレス(物理的)、骨の歪みによる刺激等も考えられます。

実際の臨床でも、噛み合わせが良くなるにつれて、血圧も下がってくる人は多いと思います。ですが、これも気をつけなければならないのは、噛み合わせのせいだけで、血圧が高く(正常範囲以上)なっている場合と、もともとその他の原因で血圧が高く、かみ合わせでさらに高くなっている場合があるということです。前者の場合は、噛み合わせを無視して、血圧を下げようとしても、根本的には(原因療法として)意味がないのと、後者は、噛み合わせだけで治ると、術者も患者も勘違いしないようにしなければなりません。

さらに、心臓に問題がある場合は、血圧自体がそれほど高くなくても、同じ様に噛み合せから筋肉・血管を介して影響が考えられます。ケースレポートとしていくつも出ていますし、僕の臨床でも、噛み合わせがわずかに変化し、引っかかりが出ることで、筋肉が硬直し、首・のどの締め付け感と、心臓の症状がでて、噛み合わせのわずかな調整により、その場でその症状が消える(心臓が悪いのには違いありませんが)、という経験が何度かあります。治療しながら、“こわいな”と思った記憶があります(今は常に考えてますが)。自分の噛み合わせの調整で、心臓発作が起こるかどうか!!! 感覚的ですが、噛み合わせはそれくらいシビアです。

そして、その他の血液データに関しては、血糖値、コレステロール等、ほとんどに影響があるでしょう。単純に考えて、噛み合わせが悪く、よく噛めないと、消化・吸収が悪くなり、それにより様々な代謝に異常が出て、血液データが悪くなる。例えば、奥歯が抜けたままや、合わない入れ歯を入れていて、インプラントに変えたら血液データが正常になったり、ということもあります。

さらには、頭蓋骨、全身の骨格、硬膜等が歪むことにより、さまざまな血管、神経、各器官への影響は考えられ、その結果として血液データに異常が出ることは、十分考えられます。

やはり、体全体で考えたときに、血液データも他の器官の異常と同じように、原因がどこからきているのか?ということの見極めが重要だと思います。

頭痛と噛み合わせの関係

不定愁訴についてです。

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不定愁訴の定義とは、体のどこが悪いのかはっきりしない訴えで、検査をしてもどこが悪いのかはっきりしないものを指します。例えば全身倦怠、疲労感、微熱感、頭重、 頭痛、のぼせ、耳鳴り、しびれ感、動悸、四肢冷感など。自律神経失調症や更年期障害、その他いわゆる心身症の症状として現れることが多いです。

  • 不定愁訴とは 全身倦怠感、めまい、頭痛、動悸、下痢など自律神経系の関与が強く考えられる身体的愁訴不安定で消長しやすい
    客観的所見に乏しい
  • 不定愁訴患者の特徴 (1)訴えが主観的、他覚的・客観的所見に乏しい (2)訴えは強い (3)多彩 (4)質的・量的に変化やすい
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まとめるとこんな感じですが、更に簡単に言うと、原因も、状態もよく分からないが、患者さんは、上記のような症状がある状態です。

噛み合わせからの全身の症状が、上記の症状の中に多く入っていますし、噛み合せの全身への影響とそのメカニズムを考えると、全ての状態が考えられると思います。

例えば、仮説として考えても、噛み合わせから、頭蓋骨が歪み、硬膜にトルクがかかり、硬膜管がねじれ、筋肉が硬直し、頚椎、背骨、腰がズレ、神経(自律神経も含む)・血管を刺激、傷害し、ホルモンや代謝が乱れ、血液データも異常になり...という、一連のメカニズムを考えたら、“噛み合わせ”というものを、無視して、全身の様々な症状を調べても、もしそれらが、噛み合わせからのみ起こっていたら?まったく原因は分からない、ということになります。簡単に言うと、“噛み合わせを調べないから、不定愁訴(原因が分からない)と、診断されてしまう”ということがありえる。証明され、統一された見解になっていないので、あくまで仮説と可能性ですが。

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頭蓋骨が歪み、頸椎がズレ、もしくは、ねじれ、歪み、傾き、どれでも構いませんが、自律神経系の中枢である脳幹は後頭の頭蓋骨と頸椎のつなぎ目あたりにありますので、まさに一番影響を受けるでしょう。構造的なそれのみを考えても、何かがあると思いませんか。私の立てている仮説のお話ですけれども。

実際、多くの僕の患者さんは(これらを主訴として来る方がほとんどなので)、これらの“不定愁訴”とされる症状を、いくつももっています。うちでは普通のことだから、“不定愁訴”とは言いませんが(ただの症状)。そして、噛み合わせ(だけではないですが)を治している過程で、ほとんどが消えていきます。

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ですが、噛み合わせからだけ出る症状ではないので、もちろん全てが噛み合わせから、というわけではありません。しかし“不定愁訴”とされている時点で、既にその他の医科的な検査等では、原因が分からないと判断されているわけですから、自分の臨床から考えても、それらは、噛み合わせから起こっている可能性は高いと思います。

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今まで説明してきたものは、ある種の異常の原因が、噛み合わせから来ているのを見逃していることで、まったく治らなかったり(対症療法なので)、助長する因子として噛み合わせが関わっているのを見逃して、完治しなかったり、ということですが、原因が分からなく、“不定愁訴”と診断され(認識)、まったく治療されない、あるいは、患者さん自身も原因も状態も分からず、治療をあきらめていたり、また、あまりに訴えが強いと、心因性、鬱、心身症的診断(診断とは言えないレベル)されたりということが多いようなので、より気をつけなければならないことだと思いますし、また、これらの研究がこれから先もう少し速度を増して進むことを切に願います。

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