桜通り歯科コラム
頭痛と噛み合わせの関係
頭痛と顎関節の状態の関係について説明します。
噛み合わせに関わる歯の感覚、咀嚼に使用される筋肉の支配、顎関節にある組織の支配神経は ➡︎三叉神経です。
噛み合わせ、顎関節➡︎三叉神経と覚えておいてください。
筋肉や腱、組織はそれ自体だけで動きません➡︎中枢と神経の機能により動きます。
頭痛の種類を書きます
①外傷による物理的な刺激によって生じる➡︎侵害性疼痛
②髄膜炎の際に生じる➡︎炎症性疼痛
①②は➡︎原因や メカニズムが明確にされています。
③片頭痛➡︎頭痛発生メカニズムが十分解明されていない特異な例がまだある
➡︎噛み合わせや顎関節の状態が関わる頭痛です。
頭痛メカニズムが十分解明に至っていないみたいですが、メカニズムを予測していきましょう。
➡︎片頭痛の発生メカニズムとして、現在最も広く受け入れられているのはMoskowitzが提唱した三叉神経血管説です。
三叉神経終末から、何らかの刺激により、硬膜動脈や脳軟膜動脈に分布している三叉神経終末から炎症性物質が放出。
何らかの刺激により➡︎“何らか”がわからないことが、十分解明されていない特異な例を生み出しているわけです。
頭痛感受部位を書きます。
①頭皮
頭皮➡︎皮膚、皮下結合組織、帽状腱膜、疎性結合組織、骨膜により構成
②髄膜
髄膜➡︎軟膜、くも膜、硬膜により構成
硬膜・静脈洞➡︎三叉神経節から同側性の感覚神経繊維による神経支配を受けている。
③脳血管
脳血管➡︎交感神経・副交感神経・感覚神経繊維により支配
交感神経➡︎脳血管収縮
副交感神経➡︎脳血管拡張
感覚神経➡︎痛覚の感受or血管拡張作用
※片頭痛や群発頭痛の病態には血管の拡張や収縮などの脳血管反応性も関与すると考えられています。
三叉神経支配領域の海綿静脈洞や脳血管の内頚動脈の通る目の奥の方が痛む頭痛に口腔が関わる理由がわかります。
※脳血管反応性が頭痛の理由であり、そのことに口腔が関わることはこの後説明します。
ここまで書いてきた流れから、片頭痛の発生に三叉神経が関わり、その発生の解明に至らない理由の“何らかの刺激”に➡︎三叉神経支配の噛み合わせに関わる歯の感覚、咀嚼に使用される筋肉の状態、顎関節にある組織の状態が大きく関わる可能性を感じてもらえると思います。
ここで一つ、噛み合わせ、顎関節➡︎三叉神経という仕組み以外にも
頭痛に脳血管反応が関与し➡︎その脳血管➡︎交感神経・副交感神経・感覚神経繊維により支配されているということも新しく覚えてください。
口腔の後方から喉にかけての知覚・味覚・筋肉の神経支配は迷走神経と舌咽神経です。
脳血管➡︎交感神経・副交感神経・感覚神経繊維により支配
➡︎口腔に関わる神経で副交感神経は➡︎顔面神経、舌咽神経、迷走神経。
➡︎口腔に関わる神経で感覚神経は➡︎三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経。
このことから、頭痛の発生に口腔の状態が関わるということ否定することは難しく、
歯科医が頭痛を噛み合わせや顎関節の状態、舌への環境などから評価することは必須ということです。
桜通り歯科クリニック 松浦敦