イップス
イップスとは精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、
突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状。
元はゴルフで使われ始めた言葉らしいが、今はスポーツ全般で用いられている。
イップスは突如として起こるものだ。
「感覚のフィードバック」という言い方がある。
新しい感覚が入力された後、姿勢や動きに変化がもたらせられることを言う。
「フィードバック」という言葉は世間一般的に馴染みのある言葉だが、
「フィードフォワード」という言葉もある。 その意味は入力の前の状態を指す。
これは下顎の位置がどちらにずれているかを診る一つの指標となる。
下顎の位置のずれは身体に及ぼす影響が大きく、ずれを大きくしないように
気をつけなければならない。
日々の生活習慣がそのずれには大きく影響する。
イップスを原因不明でつかみどころのない精神の問題とあえてせず、
「感覚のフィードフォワードとフィードバックの問題」と仮説を立ててみる。
感覚器の中でイップスが問題になる成人前後から30代までの間に大きな変化をみせるものとして、
「親知らず」を挙げる。
厳密には親知らずが生えてくることによりいろんな変化が口の中には起こるので
「親知らずを含めた奥歯の噛み合わせ」となる。
下顎の周りには136個も筋肉があり、その筋肉は首や肩関節や呼吸器のある胸郭の筋肉と
連動している。
そのなきにあって奥歯の噛み合わせは身体を力ませる強い力を生み出す。
一つ身体にあるルールを覚えておいてほしい。
歯が噛むと脳にその情報は伝達され、筋肉は緊張する。
ご飯を食べる時、話す時、身体を動かす時。
下顎はカスタネットのように単純にかちゃかちゃ動かない。
規則性はあるが幅のある複雑な動きを見せる。
その際ガチャガチャと動きの中で奥歯が擦れたり当たっていると筋肉は絶えず緊張し続けることになる。
親知らずが生えてくる時期は人それぞれだが、おおよそが成人から三十代のころ。
生えてこなくても生えて来ようとして骨の中で周囲の奥歯を押して位置を動かしてしまうことは
珍しくない。
生まれた不正な噛み合わせは周囲筋を緊張させ、首の可動域に影響する、
肩関節、胸郭、骨盤の可動、足部、重心にも影響が及ぶ。
フィードフォワード、フィードバックの話に戻る。
右投げの投手が仮に首の左側の回旋可動域を失えば前足をホーム方向に踏み込み
投側の腕を最大限テイクバックした時に前を向ききれないので最大可動が取れなくなる。
加えて背中、肩甲骨周囲の柔軟性は失われる。元の骨盤の左回旋も失われる。
突如としてこの状態が現れて、機能の変化にアジャストして投げ方を変えれる器用さがあれば
いいが、それはなかなか難しい問題だ。フィードバック出来ず投げれば、球は右に抜ける。
首の右側の回旋可動が失われれば、骨盤の左回旋が早まり、重心を乗せた軸足をうまく我慢して
前に運ぶことが難しくなり、体軸の頭の位置は踏み込み足より左外に大きく逸れ、
リリースする投側の腕とは離れることになる。
結果、フィードフォワードで投げれば球は右へと抜けることになる。
親知らずは一つのわかりやすいきっかけだが、感覚器の知らず知らずの変化は身体の重心や可動域に変化を与える。
精神的理由もあるだろうがそればかりではない。
トラウマ的なわかりやすいきっかけがないのであれば、私的には精神的理由である割合は少ないと
考えるている。
公にニュースになったイップスが本当であれば、
一二三慎也投手は前者の例。
藤波慎太郎投手は後者の例にあたる。
仮説の可能性を精査してみても面白いだろう。