桜通り歯科便り#4
歯周病と噛み合わせ
歯周病が身体への影響が大きいことは#3でお話しました。歯周病菌が近い肺への影響が大きいこと、血流によって脳へ、心臓へ、子宮へ、他臓器へ、もちろん血管へ影響をおよぼすことは歯周病菌の特徴です。口腔内では歯肉に炎症を起こし、歯を支える骨を溶かしていきます。歯周病菌の産出する内毒素の影響力は大きなものです。
さて、細菌のコントロールがいかに大切かはわかっていただけるかと思いますが、もう一つ、コントロールすることが重要なのが“噛み合わせ”です。歯周病と噛み合わせをつなげて想像するのは少し難しいかもしれません。歯を支える骨は炎症が起こると少なくなるという特徴を持ちます。
炎症を起こす原因となるものはなんでしょう? 一つは歯周病菌も含まれる細菌の産出する内毒素です。日々の口腔内清掃や歯石除去はこの細菌への対策です。二つ目は噛み合わせです。全身で起こる炎症で考えるとわかりやすいので例えると、切り傷、火傷、打撲…強い力が加わると身体は炎症を起こします。悪い噛み合わせは歯にとっては打撲にあたります。支える歯肉や骨は炎症を起こしますし、細菌によって炎症を起こした歯肉や骨は強い力によって炎症を大きくします。骨が少なくなれば構造的に噛む力が同じでも負担は増えています。噛み合わせが悪ければ、それは壊す力となります。
一つあまり聞いたことがないかもしれませんが、口は意図せず硬いものを噛んだ時など、強い壊れるような危ない力が歯にかかった時に防御反応で口が開くようにできています。ご飯を食べていて硬いものが混じっていた時、噛んだ瞬間に口が開く反射、みなさん心当たりがあると思います。あれは歯と骨の間にある歯根膜というクッションのなかにある圧力を感じるセンサーの働きによるものです。歯周病で骨を失うということは、同時にこの圧力を感じるセンサーを失うということです。
ということは歯の防御反応が鈍感になるということです。そうなれば、悪い噛み合わせは外傷となり、状態の悪化を防ぐためにはコントロールは歯周病対策としては必要なこととなるわけです。歯周病への対策を考える時、噛み合わせのことも少し気にしてみましょう