歯周病は予防が最善で絶対の策
患わないことがいかに大切かについて-その4
歯周病は予防がもっとも大切です。
私が一番『歯周病は絶対予防!』と声を大にして言いたいのは“歯根膜”の喪失についてです。
“歯根膜”について説明を受けたことはありますか?
歯根膜は非常に大切な器官です。
あまり言われないことになぜなのかな?と常々思っているのですが、非常に重要なお話をします。
予防は大事だなと感じてもらえると思います。
歯根膜
歯根膜の働き
(1)歯への栄養を送る器官。
(2)圧力を直接骨へ伝えないための緩衝。
(3)圧力を感じる神経細胞がたくさん歯根膜にはあるので、異常圧力が歯にかかった時にその神経細胞の反射により、開口反射を起こさせ、壊れないように生体の防御をおこなう。
(ごはんを食べていて、じゃりのような硬いものが混ざっていると、噛んだ時に、かってに口がひらくでしょう。あの反射のことです。侵害受容反射と言います)
(4)歯に進行して重症化した虫歯や歯周炎ができた時、歯根膜が排膿路(うみが出て行く路)となったり・歯を脱落、排除させることで、感染を顎骨や軟部組織に拡大させることなく、感染を局所化して終息させる働きがあると考えられている。もし感染が拡大してしまうなら、そこを足がかりに周囲組織から全身に波及、深刻化して生命を脅かすことになる。歯根膜はその深刻化することを許さない防御機構だと思います。
(5)噛み合う歯(対合にある歯)との接触、位置関係を調節して、歯の咀嚼機能を発見・維持するための前提をなす。
(6)歯根膜の緩圧作用もは血液、リンパ、組織液の流体系も関与する。
(7)タイプⅢ型コラーゲンを少量に含むタイプⅠコラーゲンを主成分。弾性繊維はない。骨を作る骨芽細胞や骨を溶かす破骨細胞をもつ。(矯正の場合、骨の中を歯が動くのは、強い力をかけると、骨は破骨細胞に溶かされる。けれども、動いた後ろでは骨芽細胞により骨をつくる)
(8)口腔の免疫細胞を含む浸出液が歯肉溝、歯根膜より出る。
歯周病を患うと歯の周囲の骨がなくなります。
よく考えてみて下さい。
骨だけがなくなり、歯根膜はなくならないなどありえません。
(3)から防御する反射をつかさどる神経細胞の量はどんどんと減っていきます。
歯へ送られる栄養は激減です。免疫細胞のある浸出液の量は減らないのでしょうか?
調べても未だ論文にはめぐりあっていません。
きっとどちらも減っているでしょうね。
そして失った骨をもとの位置に戻すことはかなりのレベルで難しいです。
同時に失った歯根膜は戻らないということです。
歯根膜のなくなった歯は鈍感になります。
構造的にも支えは少なくなり弱くなり、鈍感では自分の噛む力で壊してしまうことも往往にしてあるでしょう。
失うことにどうしようもない大きなマイナスがあります。
予防が一番です。
患わないことが大事だ。と、思いませんか?
歯根膜を失うことは、上に上げた(1)~(8)のことを少なからず失うことです。
歯周病は予防が圧倒的に一番です。